皆さんは、出汁をどんな料理に使っていますか?
私は夏野菜が出回ると、よく揚げ浸しを作っています。旨みがたっぷりの野菜でたくさん食べられます!

最近は海外からの観光客の方にも人気になっている「出汁」の旨み。
今回は日本の出汁の歴史や、各国の出汁について調べてみました!さらに豚肉と出汁を合わせたレシピもご紹介します。
最後までお付き合いください!

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煮ることから、出汁が生まれた

縄文時代の人々は、土器で木の実や肉などを煮て食べていました。貝塚から見つかった莫大な貝の殻からも、そのことがわかっています。
食材を煮炊きすれば、柔らかくなって食べやすくなると気づきがあったのでしょう。食べやすくなるのと同時においしさも感じていたのではないでしょうか。

その後の奈良時代には、カツオや昆布が食材に使われていたことがわかっていますが、室町時代の書物に初めて「だし」という文字が出てきます。

これは、古代中国から伝わった精進料理に、中国の出汁である「湯(たん)」が使われていたことに由来します。
その後「湯」は出汁として日本で独自に発展し、精進料理以外にも使われるようになっていきました。当時の文献には、出汁を取るのに「出汁袋」を使っていたという記述もあるのだとか。興味深いですね!


江戸時代の料理本には、二番出汁や合わせ出汁について、また昆布の水出しの仕方なども詳細に記されており、庶民の生活の中にも「出汁」が浸透していったことがわかります。この頃の出汁の作り方や使われ方は、現代まで引き継がれています。

関東と関西の出汁の違い

江戸時代、主に関東では鰹節を、関西では昆布を使って出汁を取っていました。

そしてその味の違いや食文化も、現代までずっと変わらず引き継がれていますね。
関東の方は味が濃く、濃口醤油と合わせて食材にしっかり味をつけます。関西の方は薄味であっさりとしており、薄口醤油や味噌は風味付けに使います。

このような違いが生まれた理由には、水の硬度の違い当時の輸送航路ライフスタイルの違いなど様々な理由があったようです。

江戸時代、北海道近海で獲られる海産物はまず京都や大阪へ向かい、その後江戸へ運ばれていたため、人気の高い昆布は関西でほぼ売り切れてしまい、関東では他の海産物が広まりました。
また、関東の水は関西に比べると硬度が高めで昆布の出汁が出にくく、鰹の方がしっかり出汁が出るので、鰹の方が人気になったんだとか。

さらに労働者が多かった江戸では、力仕事で汗をかいた人たちに濃い味の料理が好まれた、関西は京都など貴族が多く薄味が好まれたなど、諸説あるようです。

各国の出汁

フランスの出汁 「ブイヨン」「フォン」

フランスには、「ブイヨン」「フォン」と呼ばれる出汁があります。
ブイヨンは主に煮込み料理などに使われる出汁で、牛肉・牛骨と香辛料などを煮込んで作ります。

フォンは、フォンドヴォーといった方が馴染みがありますね。
フォンは主にソースのベースに使われます。ブイヨンをベースに香味野菜やトマトなどを加えて煮込み作られます。「フォン・ド・ヴォー」とは「茶色のフォン」の意味で、褐色の出汁です。

中国の出汁「湯(タン)」

中国には「湯(タン)」と言われる出汁があります。
大きく分けると、湯(タン)には干しエビや干しアワビ・鶏や豚などの動物性出汁である「葷湯(フンタン)」と、野菜や豆・きのこなどの植物性の出汁で作る「素湯(スータン)」があります。

さらに葷湯(フンタン)をベースに、調理する料理のスープの色や濃度で
上湯(シャンタン)」「清湯(チータン)」「白湯(パイタン)」などに分けられます。

上湯(シャンタン)は黄金色で、フカヒレのスープなど高級料理に使われる上品な味。ラーメンなどに使われる清湯(チータン)は、弱火で煮込んだ透明色のスープ。白湯(パイタン)は文字通り白濁したスープで、濃厚でとろみがあり鍋料理などにも使われます。

日本の出汁

日本の出汁には、その素材や料理ごとに様々な種類と使い方があります。鰹や昆布の合わせ出汁・煮干し出汁・あご出汁・椎茸出汁・野菜出汁などたくさんの出汁があります。特に合わせ出汁は使い勝手が良く、様々な料理に使われます。

真昆布・羅臼昆布・利尻昆布・日高昆布など、特に北海道などで獲れる昆布は味が良く、高級品として知られています。それぞれ特徴があり、例えば真昆布は上品な甘みがある出汁が、羅臼昆布は風味が強い出汁が出ます。

エコで栄養価の高い野菜出汁

注目したいのが、野菜のくずで取る「野菜くず出汁」です。
名前だけ聞くと何だか美味しいそうには感じませんが、野菜の皮や芯などから取る出汁のことで、皮などに含まれる栄養素がしっかり出汁に出るのでオススメです。

料理に使う野菜の取り除いた皮や芯を煮て、出汁として使えます。
野菜の皮、種、芯、根など両手一杯分ほどを、約1Lの水と酒小さじ1といっしょに鍋に入れ火にかけ、沸騰直前に弱火にして10~20分ほど煮たら火を止め、ザルで濾して出来上がり。

特に玉ねぎの皮が含まれていると、コンソメスープのような色になり見た目もより良くなります。

保存期間は2〜3日。カレーやシチュー、ポトフの水代わりに、炊き込みご飯に、煮物料理にもどうぞ。塩や醤油などの塩分を控えめにしても旨み、深みを感じる味になります。

手軽な出汁の調味料

旨みがたっぷり入った出汁は、様々な食材の本来の美味しさを引き出します。
家庭でも出汁を作ることはできますが、手軽に出汁を楽しめる出汁パックは、普段使いやギフトとしても人気です。

昭和37年、広島県の食品メーカー カネソ22が日本で初めてティーパック型の出汁パックの販売を始めました。
開発のヒントは当時アメリカで流行していたティーパック型のコーヒーや紅茶。近いうち手軽で衛生的なインスタント式のものは調味料でもニーズが出るはずと、開発に着手したんだとか!すごい!

↓こちらは三陸の昆布などを使用した、宮城のお出汁です。

また、出汁をベースに作られている「麺つゆ」や、出汁に醤油を加えた「だし醤油」などもたくさん種類があります。

麺つゆは、昭和51年 桃屋が初めて発売しました。それまでも麺つゆは醤油メーカーなどが販売していましたが、あまり出汁の風味を感じられないものが多かったそう。桃屋は約2年の開発を経て、お蕎麦屋さんで出されるような本格的な麺つゆの販売をスタートさせました。

今では多くのメーカーが様々な風味の麺つゆを出していますね。地域の特色が出た麺つゆ、いろいろ試してみたいですね!


宮城の麺つゆと言えば、だい久!

私が普段使いしてる「だし醤油」はこれです!

出汁を効かせた豚肉レシピ

出汁を加えて作るハンバーグ!2人分

  • 合い挽き肉 または豚肉オンリーひき肉 300g
  • 玉ねぎ 200gくらい
  • お好みの出汁パック 20gくらい
  • 有塩バター 10g

 A パン粉 大さじ4 
   牛乳 大さじ3
塩  適量

  1. 玉ねぎをみじん切りし、バターを溶かしたフライパンに入れ中火で炒めます。焦げないように炒めましょう。
  2. 玉ねぎが狐色になったら粗熱を取って、合い挽きと合わせ混ぜます。
  3. さらに出汁パックの中身と、Aの調味料を混ぜ合わせて、粘り気が出るまでこねます。粘り気が出るとふわっと仕上がります。
  4. タネを丸めて、空気抜きしたら真ん中を少し指で凹ませて焼いていきます。
    熱したフライパンに油を引き、温まったらハンバーグを並べ中火で焼きます。焼き色がついたらひっくり返して、弱火にし蓋をして蒸し焼きにします。
    7-8分したら竹串などをさして透明の肉汁が出てきたら出来上がりです。
    濁った肉汁はまだ火が通っていないので、さらに弱火で1-2分蒸し焼きにします。

    ふんわりと出汁が効いた旨味の強いハンバーグを召し上がれ!

麺つゆ使って簡単1品!豚肉となすの煮浸し

  • 豚肉小間切れなど(しゃぶしゃぶ用でもOK) 200g
  • なす 中3本 
  • 水 200cc
  • お好みのめんゆつ 適量(水200ccに対して、ご使用の麺つゆに記載の分量)
  • 生姜 ひとかけ
  1. ナスは縦半分にし、斜めの切り込みを入れてから一口代に切り、水に5分ほど晒した後水気を拭き取っておきます。生姜はみじん切りにしておきます。
  2. 熱したフライパンに油を入れ、生姜を入れたら中火でナスを炒めます。
  3. ナスに火が通ってきたら、豚肉を加え炒め、水と麺つゆを加えます。
  4. ひと煮立ちして、豚肉に火が通ったら出来上がりです。おろし生姜のほか、鰹節、小口切りした青ネギなどを薬味にしても◎。

    タッパーなどにとり、冷蔵庫で冷やしても美味しい!豚肉入りでボリュームもあります。

いかがでしたか?出汁を使うことで、塩分を控えることもできます。いろんな料理に使ってみてください!