豚もも肉は、足の付け根からお尻のあたりまでのお肉。筋肉が多く運動量が多い部位で、脂肪が少ないのが特徴です。

豚肉の中ではヒレに次いで2番目に低糖質・高タンパクな部位で、体を鍛えている方やダイエットをしている方にもオススメ。価格もお手頃です。

でも、豚もも肉は固くてパサパサしてて苦手…って感じる方も多いようです。
今日は、そんな豚もも肉の特徴や栄養価などにフィーチャーしていきます! 柔らかく食べられる調理方法なども調べましたので、ぜひ最後までお付き合いください。

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豚もも肉の栄養価

もも肉は全体的に脂が少なくあっさりした味ですが、ヒレ肉の次にビタミンB1が多い部位。
ビタミンB1は水溶性のビタミンで、糖質を代謝する大切な栄養素。糖質を燃やして疲労回復や体を動かすエネルギーに変えてくれます。


カロリーは、100gあたり約150kcal。バラ肉だと約380kcalなので、半分以下ととてもヘルシー。
また、バラ肉より圧倒的に脂質が低いので、同じ豚肉でも良質な栄養素を取り入れることができます。


例えばバラ肉は100gあたり たんぱく質は約14g・脂質は約35g。
対するもも肉は100gあたり たんぱく質は約20g・脂質は約10g。


脂が乗った部位は旨味も強く美味しいですが、食べ方によっては脂質の摂り過ぎになってしまう場合も。特に体力作りやダイエット時などで、たんぱく質やビタミンなどを取り入れたい時は、バラやロースより、もも肉の方が脂質が少なくおすすめです。

内もも・外もも・しんたま

豚もも肉は、大きく「内もも・外もも・しんたま」という部位に分けることができます。


内ももは、バラやロースなどに近い足の付け根部分で、キメが細かく柔らかめ。ボンレスハムや焼き豚などに使われたり、一口カツやカレー用角切りなど、少し厚めにカットされます。ヒレ肉のようにトンカツにしても美味しい部分です。


外ももは、腰からお尻あたりの運動量が多い部分です。キメは荒めで固めのお肉で脂身も少なめ。しゃぶしゃぶや生姜焼き用に薄切り肉にすることが多い部分です。


しんたまはさっぱりとした味。内ももの下部の大腿骨(げんこつ)付近に位置する希少な部位。丸い形をしていることから「芯玉」と呼ばれています。切り落としやひき肉などに使われたり、ブロック肉としても販売されています。内ももや外ももに比べ、脂が多めについています。




欧米ではハムといえばもも肉。日本ではロースハムの方が人気ですが、海外ではモモ肉で作るボンレスハムが主流です。


クリスマスのメインディッシュには「クリスマスハム」を作ります。特に北欧では、大きなハムに蜂蜜やマスタードなどで作ったソースを塗って、オーブンで焼いて食べる「ユールシンカ」がクリスマスの定番料理。


ちなみに、ロースハムは欧米ではあまり一般的ではありません。
大正10年、ドイツ人捕虜として日本で食肉加工業をしていたローマイヤー氏が、ハムやソーセージとしては使い道のなかったロース肉で、日本人の好みに合うハムを作ろうと研究を重ね完成したものがロースハム。
それまで高級品だったモモハムやソーセージより安価であり、サッパリした味が日本の一般家庭で広まっていったようです。ちなみに「ロースハム」は和製英語です。

豚もも肉が固くなる理由は? やわらかく美味しい食べ方

もも肉は、赤身が多い部位です。調理の仕方によっては固くパサパサとした食感になりがち。赤身のお肉はなぜ固くなってしまうのでしょうか。そしてどんな調理方法が向いているのでしょうか。

加熱により豚もも肉が固くなる理由

豚もも肉はバラ肉などに比べて筋繊維が多い部位。筋繊維はお肉の表面に見える白い筋のようなもで、加熱することでぎゅっと固くなります。


さらに、肉の中のたんぱく質も火を通すことで収縮します。また肉汁として水分が出てしまうことも、食べた時に固さやパサパサ感を感じてしまう原因です。


この様にさまざまな要因が元で、もも肉は固くなってしまいます。なるべく固くなるのを抑え美味しく食べたい!

しゃぶしゃぶにするとき

固くなりやすいので、薄くスライスしたもも肉にサッと火が通るようにすると、美味しく食べることができます。


簡単に美味しくしゃぶしゃぶを食べるなら、昆布を10gほど準備してください。
鍋に水(600cc)と昆布(10g)を入れ、30分ほどしたら火にかけ出汁を取りましょう。沸騰する前に火を弱め、昆布を取り出して完成。お肉を1枚ずつ3~4回くぐらせていただきます。この一手間で、美味しいしゃぶしゃぶが楽しめます。

焼肉や生姜焼きなど焼き物にするとき

肉の中にあるたんぱく質を収縮させずに、水分も残して柔らかく食べるために、焼く前にお勧めしたい2つの方法はこちら。

1.たんぱく質分解酵素のある食品を使う

たんぱく質分解酵素があるものに肉を漬けると、肉のたんぱく質が分解され柔らかくなります。


パイナップルやキウイを食べた時、口の中がチクチク・ビリビリとしたことはありませんか?それは口の中のたんぱく質が果物に含まれる「ブロメライン」や「プロテアーゼ」により分解され、粘膜があらわになってしまったから。
これらの果汁や果実にお肉を漬けてから焼くと、固めのもも肉でも柔らかくなります。
カットパイナップルなどを使ってお肉を漬けた後は、そのパイナップルでソースも作っちゃいましょう。缶詰のパイナップルなど加工されたものは効果がありません。生のものを使ってくださいね。


たんぱく質分解酵素が多く含まれる食品は他にも、玉ねぎ、いちじく、りんご、塩麹などがあります。これらの食品を含む焼き肉のタレなどに漬けても柔らかくなります。ボウルにお肉とタレを入れ揉み込んで20分くらい置いておくと良いですよ。
ヨーグルトやお酢、味噌などもお肉を柔らかくしてくれます。


加熱するとその効果が弱まるので、事前に漬けておくことが必須です!
漬け込む時間は、食品によって違いますが20~30分ほどでOK。あまり長く漬けると、分解が進み過ぎでお肉がボロボロになることがあるので気をつけてください。

2.小麦粉や片栗粉をまぶしてから焼く

小麦粉や片栗粉には、でん粉が含まれています。でん粉は加熱すると膜を張り、食材の水分や旨みを閉じ込めます。そのため中の食材の柔らかさが保たれ、ジューシーに仕上がります。


小麦粉などをまぶすことで香ばしく焼けるほか、衣にタレが絡みやすくなります。お肉にまぶしたら、余分な粉は落としてから焼きましょう。小麦粉はサクサクっとした食感、片栗粉はトロッとした食感になりますね!冷めても美味しいので、お弁当に入れるときは粉をまぶして焼くのがお勧めです。


ローストポークやチャーシューなどにするとき

ブロック肉を使って、ローストポークなどを作る時は柔らかく仕上げたいですよね。上記でご紹介した、酵素のタレに漬けて焼く方法もお肉が柔らかくなりますが、大きなお肉を使って煮こむレシピのときは、こんなものを使うのもお勧め!

炭酸水

炭酸水やビール、コーラなどは肉を柔らかくしてくれます。炭酸水に含まれる炭酸水素ナトリウムが肉のたんぱく質を分解してくれるからです。事前に漬け込むのに使うのも良いですし、煮る時でも水の代わりに使用することで効果があるため、ブロック肉のレシピにぴったりです。

また、じっくり時間をかけて火を通していくブロック肉のレシピは、たんぱく質を溶かし肉をやわらかくしていきます。もも肉のブロック肉でぜひチャレンジしてみてくださいね。

他にもこんな方法があります!

筋切りする

ソテーなどにもも肉を使うときは、筋切りをしましょう。肉の表面にある白い筋部分に、包丁で軽く切れ目を入れます。2~3センチごとに1箇所ほど入れておくと良いです。筋切りは片面だけでOK。筋切りすることでお肉の縮みや反り、固くなるのを抑え、見た目も良くなります。

冷凍肉の場合は、ゆっくり解凍させる

上記のような方法で、もも肉でも柔らかいまま調理することができますが、もし冷凍肉を使うのであれば、冷蔵庫に移し時間をかけて解凍しましょう。
電子レンジなどで急激な解凍をすると、水分や旨みがドリップとして抜けてしまい食感もパサパサになってしまいます。調理する前日などに冷凍室から冷蔵室へ移し、ゆっくり解凍させたものを使いましょう。急いでいるときは流水解凍もお勧めです。


いかがでしたか?

栄養価が高くお値段もお手頃な豚もも肉を、美味しく調理してお楽しみくださいね!